蔵ku-raの左官工事をしてくれている田中さんが、
蔵の内壁を仕上げるのに使った鏝を見せてくれました。

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こんなにもたくさんの鏝を使い分けて、左官を仕上げてくれています。
これほどたくさんあるのに、1つとして同じものはありません。
鏝は、現場に応じて使い分け、
さらには必要に応じて鍛冶屋さんで作ってもらっているそうです。

今回は、この沢山の鏝をどんな用途で使うのか、
田中さんが教えてくれたのでご紹介します。

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この四角く大きい鏝は、漆喰塗りを仕上げるのに使った「角鏝(かくごて)」と言うそうです。
蔵の内壁は、ほとんどが漆喰で仕上げてあるのですが、漆喰は二度塗りをしており、
二回目には油焼きの鏝を使うそうです。
鏝は、焼きの方法で面の堅さやしなやかさが変わり、
漆喰の1回目を塗るためだけの鏝もあるそうです。

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こちらの鏝は「地金鏝」と言い、焼きが入っていない鏝だそうです。
金属は、焼きを入れ、叩き、鍛えることで強度が増します。
しかし、この地金鏝はその名の通り地金でできており、焼きを入れ、叩いていないため、
強度がなくすぐに傷が入ってしまうそうです。
傷が入ってしまった鏝で漆喰を押さえてしまうと、壁にも傷が入り、
仕上げの時に一旦入ってしまった傷はその後何度重ね、押さえても直すことはできないそうです。
高い技術と繊細な仕事が求められる理由の1つですね。

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こちらの写真の右上にある鏝を「レール鏝」と言い、
その下にある面と面が90度で作られている鏝を「切付け鏝」と言うそうで、
どちらも仕上げのタイミングで使う鏝だそうです。
写真の左側にある細い棒状の鏝は、「目地鏝」と言い、
他の鏝では入らないような細いところや、隅っこに使うそう。
最後に、写真の一番下にある小さい鏝は「つまみ鏝」と言い、
文字通り指でつまむくらい小さな鏝で、狭い場所の仕上げに使うそうです。

今回お見せした鏝は内壁用に使ったもので、外には外用のものがあるのだと言います。
これほどたくさんの鏝があることにも驚きですが、
それぞれに名前があることにもっと驚かされます。

「どんな道具を使って、どれだけ丁寧に仕上げているかを知って貰えると嬉しいです」と、
田中さんは仰っていました。
左官だけでなく、蔵ku-raには様々な職人さんたちが、心を込めて作ったものが溢れています。
職人さんたちの思いや苦労の詰まったこの施設を、みんなで大切にしていきたいです。